アイキャッチ たちばなガラス工房様より “朝焼けのガラスペン”
皆さんはガラスペンをご存知でしょうか。
ガラスペンはその名の通り、ガラスで出来た“つけペン”の事です。
筆記道具として近年注目を浴び続けるガラスペン。
1本1本手づくりされているため、個性がありそれぞれ貴重な1本となります。
本記事では、ガラスペンについてご紹介していきます。
Contents
1.ガラスペンの特徴
ASTRO CRAFT様 Twitter より
ガラスペンの特徴の一つは、その美しいデザインと透明な筆先です。
毛細管現象を利用し溝にインクが溜まり、書ける仕組みになっています。
1-1.美しいデザイン
ガラスペンは、その透明な筆先や独特な形状から、一見するだけでも魅了されます。ガラスの繊細な曲線やカラフルなインクの組み合わせは、まさに芸術作品のようです。
手に持った時の軽さや繊細な手触りも、高級感と特別感を与えてくれます。
1-2.書き心地の良さ
ガラスペンは、柔らかな筆圧で繊細な線を描くことができます。
その繊細さによって、文字や絵画などの表現に細かいディテールを加えることが可能です。ペン先の滑らかな動きが特徴です。
1-3.インクの多様性
ガラスペンは、さまざまな種類のインクと相性が良く、多様な色彩を表現することができます。カラフルなインクを使えば、文字や絵画に鮮やかなアクセントを加えることができます。
また、インクの濃淡を自在にコントロールすることもでき、表現の幅が広がります。
「顔料インク(カーボンインク)」は、耐水性、耐候性が高いため保存に適していますが、万年筆で使用する際にはペン芯や軸(コンバーター)の内部まで念入りに洗浄する必要があります。その点ガラスペンであれば、必要なのはペン先の洗浄のみです。
更に、筆記後インクが酸化して黒くなる「古典インク」の場合も、万年筆ではペン先が金属製のため、保管する際に酸性のインクで腐食する心配がありますが、ガラスのペン先であれば腐食の心配をせずにご使用いただくことが可能です。
- SAILOR セーラー 万年筆用
- 顔料 ボトルインク シリーズ
- PLATINUM プラチナ クラシックインク 万年筆用水性染料インク シリーズ
1-4.お手入れのしやすさ
ガラスペンは、比較的簡単なメンテナンスで長く愛用することができます。使用後には、水道水で軽く濯ぎ、ティッシュや柔らかい布で拭き取るだけです。
定期的にガラスペン用のクリーニングソリューションを使って清潔に保つことがおすすめです。
2.ガラスペンと万年筆の特性の違い
日常的によく使われているのは、万年筆ですが、ガラスペンと万年筆とではどの様な違いがあるのか紹介していきたいと思います。
2-1.ペン先の素材
ぐり工房様より
万年筆はペン先は金属(主にステンレスや金合金)で作られているのに比べて
ガラスペンは、ガラスで作られております。柔らかな筆圧で線を描くことができ、繊細な書き心地が特徴です。
そのペン先の筆状の溝から、ペンを回しながら書くと継続的にインクが出やすく均等に書けます。
2-2.インクの補充と持続性
インクの容量が大きく、一度の補充で数日から数週間以上使用できるのが万年筆です。カートリッジやコンバーターでインク瓶からインクを補充します。
なので、普段使いや持ち運びには適しています。
ガラスペンは、万年筆のように内部にインクを貯蔵できないので、書き始める度にインクを筆先に付ける必要があります。一般的には、ボトルインクから直接インクを付けるイメージです。
一度つけると、大体はがき一枚分は持続して書けるといわれています。
2-3.書き込みの幅
万年筆はペン先の形状によって線の太さを調整でき、細かい字や太い筆跡を表現することが出来ます。幅広い表現力を持ち、個性的な文字を作り出すことができます。
一方、ガラスペンは繊細な筆圧で線を描くことが得意であり、特に細かい筆記やディテールの表現に向いています。
デリケートな線や細かい装飾を追加することができます。
2-4.メンテナンスと耐久性
たちばな硝子工房様 Twitterより“夕暮れと月のガラスペン”
万年筆はペン先やインクのメンテナンスが必要ですが、適切なお手入れによって長く使用することができます。ペン先の清掃やインクの詰め替えが主なメンテナンス作業です。
対して、ガラスペンは特殊なインクでない限り、水道水でペン先を軽くすすいでインクを洗浄していただくことで、別の色のインクを使用していただけます。
※顔料インク(カーボンインク)は溝に粒子が溜まりやすい傾向にあるため、専用のクリーナーキットを用いて洗浄してください。またインクによっては水道水のミネラルと反応して汚れが落ちにくくなるケースがあります。精製水を用いる等、詳しくはお使いになるインクの説明書をご参照下さい。
一方、ガラスペンはペン先がガラス製で繊細なため、取り扱いには注意が必要です。例えば、インクを付ける際、洗浄する際にぶつけてしまう事や、書いている時の力加減にも神経を使います。
また、持ち歩く際にもペンだけでなくインクも持ち歩かなくてはいけない事や、ガラス製品を持ち歩くため、保護材が必要になります。
最近では、キャップやカバー付きのガラスペンも販売されているので、持ち歩きやすくなりました。
正しい使い方と適切なメンテナンスを行いましょう。
3.ガラスペン†ブランドの紹介
先ほども話した通り、ガラスペンは職人さんが1本1本手で作られます。
有名ブランドから、ガラス工房でも作られる個性あふれるガラスペンを紹介していきたいと思います。
①HERBIN(エルバン)
HERBINは1670年(ルイ14世在位時代)にパリで生まれたシーリングワックスとインクの老舗ブランド。
②Kemmy’s Labo(ケミーズ・ラボ)
③HARIO(ハリオ)
1日を振り返る日記を書くとき、湧き出るアイディアを書き出すときに、
このガラスペンの前では素直にいられるように、
シンプルなデザインに仕上げられています。
④ガラス工房 マツボックリ
約10年間の理化学ガラス職人としての修行の後、1995年に酸素バーナーワーク+ボロシリケートガラスの工芸作家として独立。2007年頃よりガラスペンの制作を開始。
すべての面でオリジナルな物作りの姿勢を貫くということをこだわりとしている。
⑤たちばな硝子工房
関西のガラス工房。ガラスペンや置物、宇宙玉などを製造している。
通販サイトやイベント出展を通して販売している。
800〜2000度のを使い、空中でガラスを溶かして形にする
【ランプワーク】という製作技法。
⑥ガラス工房aun
2003年に1ヶ月のワークショップを受講し、バーナーワークの基礎を習得する。
2004年には工房を岡山市で設立し、個展やグループ展、
クラフトフェアーやデパートでの出店を全国各地で開催。
2013年は湯郷温泉街に工房を移転し、ショップ兼工房として営業を始める。
その後、ショップ兼工房を倉敷市の美観地区に移転する。
2004年から個展やグループ展、
クラフトフェアーやデパートでの出店を全国各地で開催してます。
⑦HASEガラス工房
ボロシリケイトガラス(耐熱ガラス)を酸素バーナーという高温の炎が出せる器具で溶かして作品を製作している。
⑧The NEON
2004年より独学にてガラス制作をはじめ、その後、アメリカに渡りガラス工芸の基礎を学び、2005年に工房を設立。
デザイナー兼アーティストとして、年間2,000個以上のアクセサリーをデザイン・製作・納品。
また、様々な企業とのコラボや制作に関わった経歴を持ち、「技術があるからこそ、シンプルに書くことをつき詰めた」ガラスペン制作。
⑨ガラス工房 sayori
2011年に独学でガラス細工を学び、ドイツのラウシャにあるガラス専門学校でガラスを学ぶ。2016年7月にはドイツのガラス工場に就職され、2020年からは日本にて活動される。
東北地方から九州地方の各店舗やWebShopで広く販売されており、また修理も行っている。